1989年4月から2008年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入冷凍野菜・果実595検体について農薬の残留調査を行った.その結果,162検体から43種類の有機リン系農薬,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,カルバメート系農薬およびその他の農薬が痕跡値(0.01 ppm未満)~4.6 ppmの範囲で検出された.葉菜類(こまつなおよびほうれんそう)では,クロルピリホス,シペルメトリンおよびオメトエートが,豆科野菜(えだまめおよび未成熟いんげん)では,シペルメトリンおよびメタミドホスが,ばれいしょでは,クロルプロファム(CIPC)が,ベリー類(ブルーベリー,ラズベリーおよびいちご)では,キャプタンおよびカルバリル(NAC)の検出率が高かった.また,ライチでは,果肉から水溶性の高いメタミドホスが検出された.農薬が検出された冷凍野菜および果実を喫食した場合の農薬の推定摂取量を算出し,一日摂取許容量(ADI)と比較したところ,各農薬のADI値の0.5%未満から30%の範囲であり,通常の喫食による健康影響はないものと考えられた.