通知で規定されている鮮魚中の一酸化炭素(CO)分析法のうちA法(通知A法)は,試料を多量に必要とし,また試料気相調製時に鮮魚中のCOの一部が散逸するなどの問題が指摘されている.そこで本研究では,これらの問題点の解消ならびに現在の通知法の改正を目指して,宮崎らの方法を一部変更した分析法(改良法)の適用性を検討した.また,改良法を用いて通知で規制されているマグロ,ブリ,ハマチおよびティラピア中のCO濃度のバックグラウンド値を調査した.その結果,改良法は,試料気相調製時のCOの散逸抑制,試料量の低減,操作の簡便性の点で通知A法より優れており,鮮魚中のCO分析に適用可能であることが確認された.また4機関共同で実施した各鮮魚中のCO濃度のバックグラウンド値については,改良法が通知A法と比較してCOの回収率が向上することから,特にCO未処理のティラピア中のCO濃度が現在の規制値を上回ることが判明した.したがって,改良法を今後新たな鮮魚中のCO分析法として適用する場合には,ティラピアの規制値の変更が必要であると考えられた.