トラフグとマフグの人工交雑個体にフグ毒テトロドトキシン(TTX)を投与し,毒の体内移行プロファイルについて検討した.シリンジを用いてTTX添加飼料を強制的に経口投与したところ,24時間後までは消化管の毒量(組織1 g当たり)が急速に減少し,これに呼応して肝臓の毒量が増加したが,その後は肝臓の毒量が漸減するとともに,皮への毒の移行が見られた.一方,筋肉内投与した場合,TTXは血液を介して速やかに肝臓と皮に移行した.各部位の蓄積毒量(投与毒量に対する相対値)を見ると,経口投与,筋肉内投与ともに8時間後以降は肝臓が23~52%と最も多く,72時間後以降は皮(11~21%)がこれに次いだ.