食品に混入した動物毛の種を識別するための簡便,迅速かつ低コストの方法を検討した.ヒトおよび愛玩動物等(ネコ,イヌ,ウサギ,ラット,マウス)または家畜(ブタ,ウシ,ウマ,ヤギ,ヒツジ,ニワトリ)を識別する対象とした.解析する手法としてPCR-APLP法を採用した.ミトコンドリアDNAの16S rRNA遺伝子からND1遺伝子にかけての領域を標的とし,動物によって増幅産物長が異なるようにプライマーを設計した.ヒトおよび愛玩動物等または家畜の識別用に2本のPCRチューブを用意し,それぞれに共通のフォワードプライマーと種特異的リバースプライマー6種類を含むように反応液を調製した.増幅産物長の確認をアガロースゲル電気泳動により行った.検討した方法を動物毛52試料に適用したところ,すべての試料から想定された長さの増幅産物が得られた.