LC-MS/MSを用いた迅速で簡便な飲料中の残留農薬一斉分析法の実用化に向けて検討を行った.試料にアセトニトリルを混合し,塩析・脱水処理を経て固相カラム(グラファイトカーボン/PSA)で精製しLC-MS/MSで定量した.35種類の飲料で検討した結果,アルコール度数の高い飲料以外は適用可能であった.アルコール飲料の回収率は低下した.この原因は,塩析・脱水後の有機相へのエタノール混入による液量増加と推測された.そこで,ぶどう果汁に任意の量のエタノールを添加して作製した模擬アルコール飲料を用いて検証し,本法が適用可能なエタノール濃度を10%未満とした.アルコール度数の高い飲料は水で希釈を行い適用できた.本法により1試料当たり前処理から定量まで約2時間で可能で,スクリーニング分析法として活用できる