PCRを活用した4および6倍体と6倍体コムギとの識別法を開発した.A,BおよびDゲノムで構成される普通コムギは6倍体コムギに,AおよびBゲノムで構成されるデュラムコムギは4倍体コムギに分類される.SS II遺伝子は各コムギA,BおよびDゲノムにコードされ,それらのDNA塩基配列はわずかに異なる.この差異を識別する2種の異なるプライマー対を設計した.プライマー対SS II ex7-U/LはSS II-A,B,Dに共通の配列を認識し,4および6倍体コムギDNAから114 bpのPCR増幅産物を生じた.一方,プライマー対SS II-D 1769U/1889LはSS II-D上の特異的な配列を認識し,6倍体コムギからのみ121 bpの増幅産物を生じた.コムギと他の穀物からなるコムギ混合物を本PCRに供したところ,4および6倍体コムギと6倍体コムギを効果的に識別することができた.以上のことから,本PCRは食品原料粉中の普通およびデュラムコムギの識別を可能とし,コムギの正確な表示に有用であることが示された.