農産物中の残留農薬一斉分析への液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-TOF-MS)の適用について検討した.残留農薬一斉分析に適した TOF-MS 条件(キャピラリー電圧,コーン電圧およびアパーチャー1電圧)を詳細に検討した.また,フラグメントイオンを用いた確認方法についても検討を行った.抽出質量幅は20 mDaに設定して定量を行った.最適化した条件で,154化合物について大豆およびほうれんそうのマトリックス標準溶液を用いて各農薬の試料マトリックスの測定への影響や定量限界などについて評価した.その結果,試料中濃度0.01 mg/kgで S / N ≥10のピークが得られた農薬は145化合物であり,大部分の農薬は一律基準レベルにおいても試料マトリックスによる大きな影響を受けずに測定可能であった.また,検討したすべての化合物において選択性に問題はなかった.