わが国は海に囲まれ,魚介類が豊富な食環境にあるため,さまざまな魚介類を多種多様な調理法によって調理し,日常的に摂取している.平成23年3月の原発事故以降,放射性物質による魚介類の汚染が懸念されるため,魚介類の汚染状況を把握するとともに魚介類を介した放射性物質の内部被ばくを回避することが必要不可欠となった.そこで,本研究ではわかさぎを4種類の方法(素焼き,甘露煮,から揚げ,南蛮漬け)で調理し,わかさぎ中の放射性セシウム量の調理前後の変化を検討した.その結果,素焼き,甘露煮,から揚げでは,放射性セシウムの除去率は10%以下であり,除去効果は少なかった.一方で南蛮漬けは,今回の検討の中で最も高い約30%の除去率を示し,加熱後に調味液へ浸漬する調理法でも放射性セシウムの除去に効果があることが明らかとなった.