1997年4月から2011年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入スパイスおよびハーブ313検体について農薬の残留調査を行った.その結果,64検体から37種類の有機リン系農薬,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,カーバメート系農薬などが痕跡値(0.01 ppm未満)~3.3 ppmの範囲で検出された.検出率は,果皮(100%),茎(66.7%),果実(34.5%),樹皮(33.3%),花(31.3%),葉(14.7%)の順に高かった.根,種子および全草からは検出されなかった.検出されたいずれの植物部位からも有機塩素系農薬が,いずれの原産地域からも殺虫剤が検出され,使用頻度の高いことが示唆された.農薬が検出された輸入スパイスおよびハーブを喫食した場合の農薬の推定摂取量を算出し,ADIと比較したところ,いずれも各農薬のADIの1%未満であり,通常の喫食による健康影響はないものと考えられた.