トリコテセン系カビ毒9種(ニバレノール,デオキシニバレノール,フザレノン-X,ネオソラニオール,3-アセチルデオキシニバレノール,15-アセチルデオキシニバレノール,ジアセトキシスシルペノール,HT-2トキシン,T-2トキシン)の一斉分析法を検討した.その結果,試料中のカビ毒をアセトニトリル–水(1 : 1)を用いて抽出し,QuEChERSキットおよび多機能カートリッジによる精製後,内部標準法を用いたLC-MS/MSにより定量する方法を確立した.LC分離にはペンタフルオロフェニルカラムとメタノールを含む移動相を用い,各カビ毒の完全分離と高感度定量を実現した.粉末コーンスープを用いた分析妥当性試験では,直線性0.99以上,真度95~111%,日内再現性0.9~6.6%,日間再現性0.6~11.6%,検出限界0.01~0.75 μg/kg,定量下限0.04~2.50 μg/kgという良好な結果を得た.本法を用いて市販粉末コーンスープ15試料を分析したところ,2試料よりデオキシニバレノール(20.7,22.5 μg/kg)を検出し,そのうち1試料は3-アセチルデオキシニバレノール(13.5 μg/kg)との共汚染であった.