日本における焼肉調理過程を想定し,牛内臓肉を含む牛肉での腸管出血性大腸菌の挙動を明らかにすることを目的に,各過程での本菌の生残性を検討した.その結果,牛肉の低温保存および焼肉調味料への漬け込みにおいて,菌数の増減はほとんど認められなかった.また,ホットプレートおよび直火ガスコンロでの焼肉調理において十分に加熱した場合,菌数の著しい減少(1/1,100から1/37,000)が認められた.しかし,牛肉の種類による菌数の減少程度の違いや,加熱むらがあることに注意が必要であると考えられた.また,同一の調理器具を焼成前の汚染牛肉および焼成後の牛肉に共通して使用することによって,1/500から1/300,000の菌数の二次汚染が起こることが示された.