アフラトキシン(AF)産生菌を含む Aspergillus flavus グループの簡易な識別方法を構築するために, A. flavus グループ45株について分子生物学的な解析を行った.最初に, A. flavus グループ20株についてITS 1-5.8S-ITS 2(ITS-1/2)領域と aflR - aflJ intergenic spacer(aflR/J-IGS)領域の分子系統樹を比較した.その結果,aflR/J-IGS領域に基づいた解析ではITS-1/2領域の解析で識別できなかった A. flavus (AF産生株)と A. oryzae / A. flavus (AF非産生株)の識別が可能であった.また, A. flavus グループ45株を用いてaflR/J-IGS領域の分子系統樹解析と培養法によるアフラトキシン産生性を比較した.その結果,aflR/J-IGS領域の分子系統樹解析で推定されたアフラトキシン産生性と培養法で得られた結果が一致した.これら分子系統樹解析の結果に基づき設計したプライマーを用いて A. flavus を中心とした49株の Aspergillus 属菌を対象にマルチプレックPCR法による識別を試みた.その結果,供試41株でaflR/J-IGSの分子系統樹解析と同様の結果が得られた.