超臨界流体抽出(SFE)およびLC-MS/MSを用いた野菜・果実中の残留農薬一斉分析法を開発した.LC測定が可能な中~高極性農薬を対象として,SFE試料の調製方法やSFE条件を最適化した.SFE試料として試料–セライト–無水硫酸マグネシウム(1 : 1 : 1)の混合比率,モディファイヤーとしてメタノール,超臨界二酸化炭素流体を用いて,抽出圧力16.4 MPa,抽出温度40℃,抽出時間30分でSFEを行うことにより,検討農薬の大部分で高回収率が得られた.117農薬について添加濃度0.01 ppmで添加回収試験を行ったところ,トマトで112農薬,きゅうりで103農薬で,真度70~120%,併行精度25%未満の良好な結果が得られた.農薬が残留した市販の野菜・果実を用いて,本法と通知法を比較したところ,ほぼ同等の結果が得られた.アセフェートやメタミドホスのような高極性農薬は,開発したSFE法のほうが,有機溶媒抽出法(厚生労働省通知一斉試験法)よりも高回収率が得られた.