腐肉食性小型巻貝のテトロドトキシン(TTX)蓄積能・蓄積機構解明に資するため,ムシロガイ科のコブムシロとアラムシロを用いて毒化モデル実験を行った.両種にTTX含有餌料を投与すると,ともに内臓と筋肉が僅かに毒化した.組織中のTTX量の最高値は,コブムシロ内臓で2.85 MU/g,筋肉0.86 MU/g,アラムシロ内臓0.80 MU/g,筋肉0.81 MU/gで,コブムシロ内臓で毒が最も多く残存する傾向が見られた.TTX残存率(推定TTX摂取量に対する総残存TTX量の割合)は,おおむねコブムシロで4%未満,アラムシロで2%未満と非常に低く,これら2種が食品衛生上問題となるほど高毒化する可能性は低いものと推察された.