関東地方の区内観測所約170地点の値をもとにして作成したP1957年12月から1958年11月までの毎日の日最高および日最低気温分布図を比較検討した結果,平均分布図だけからでは知ることのできない特徴が判つたので,今回はすでに1961年に報告し却暖候期の日最高気温分布以外の場合について報告する.最低気温分布については冬の季節風吹走時・寒冷前線停滞時・春秋の快晴静穏時・夏の晴天時の4つの場合について,代表的な日の分布図の解析結果とともに各型の平均状態を図的に表現し,地形や水陸配置との関係を考察して該地域の気温分布の中気候的特徴を明らかにした. 寒候期の最高気温分布については,全般的に該地域が高温の場合に,東京湾沿岸に局地的低温が現われること,それが東京湾特有の海風(湾風)の影響であること,また,曇天で日中気温が上昇しない時は東京湾の影響は現われず,外洋沿岸に高温域が生じることなどを明らかにした.後者については平均状態の図を示し,最低気温分布と比較できるようにした。