38・1豪雪 (1963年冬)に関係した一連の災害研究の一部分として,九頭竜水系滝波川流域において,積雪と融雪に関する調査が実施された.スノーサーヴェー,小気候調査および空中写真の解析によって積雪分布,総相当水量が調査された.流域の出口の地点では流量が測定された.融雪期の一定期間内に流域内の基地観測所において,融雪に関する各種の測定が実施された. 積雪水量の算定に空中写真が利用できることが,この調査の結果から指摘された.融雪に関する分野では,日射が融雪をひきおこす大きな要素であることが知られた.同時に融雪量計の精度も検討された. 融雪期の出水は,多くの場合降雨のある日に限るが,快晴が続く場合にも出水が見られる.出水の日変化のピークは,融雪のピークよりも3~7時間おくれて出現する.融雪期における流域の流出率は約60%で,蒸発などによる水量の損失が大きいことを示しているように思われる.