本論文はテレビジヨン受像機用の自動利得調整回路 (以下AGCと略記する) に就いて先づ一般的に論じた後、回路の実例を幾つか擧げて其利害得失を説明したものである。 インパルス的な雑音に依つて所期の効果が減殺されることがないようにすることゝ、飛行機の通過などの原因に依つて信号強度が急に低下した場合にも迅速に追付いて行けるやうに働作速度を速くすることが特に要求されるので、この点に色々苦心したことが詳細に述べてある。大別して二部から成つているが、第一部では設計上の要点と各種回路発達の沿革を述べ、第二部に入つて転倒型キーイング式と稱する新方式のAGC回路を紹介してある。