テレビ電波に重点をおいて, VHFの異常伝搬のおこり方について現在までに明らかとなっている事実を列挙し, そのような事実がどうしておこるかの説明を試みた.スポラジックEが伝搬路の中央付近に現われることが異常伝搬の原因であるが, そのスポラジックEの成因をのべ, その性質特に移動性「スポラジックEは, 少なくとも中緯度では, あまり急には減衰しないで60~200m/sで北進 (北半球.南半球では南進) する」ことをいろいろの事実から帰納した.これによって今まで説明のしようのなかった事実についても説明できるようになった.ついでながらGersonらの「スポラジックEは夏に西進する」という結論の正当でないことを証明した.