単電子銃形クロマトロンをカラーテレビのディスプレイとして用いたときの問題点を検討した結果の報告である.実験には米国クロマティック研究所製PDF22-250形の機構部をデマウンタブル装置内に装着したもので行なった.このディスプレイ方式は, NTSC信号を一度復調し, 再度クロマトロン用順次信号に変換する変調プロセスをもった複雑な色再生方式でなく, 簡易色再生形を目標とした場合, NTSC信号を直接サンプルしてカラー画像が再生できるという点に大きな特色がある.この方式で再生した画質は, 実用上さしつかえない程度で許容されるものであり, 回路が簡単なうえに色バランスがよい, 色ずれがない, という本来の特徴とともに大きな利点となっている.ただ, サンプル周波数をあまり高くとり得ないために, 解像度が低下しがちとなり, ドットストラクチャーやラインストラクチャーが目立つなどの問題点から考え, 簡易色再生方式を採用した小形のディスプレイに適している.また, 忠実なカラー信号の再生を目標としたときには回路系, 画質や画面輝度等の点から3電子銃形クロマトロンがより適しているといえよう.