テレビ画像の鮮鋭度を高めるために, 筆者らは, 輝度信号伝送回路において, オーバーシュート, プリシュートなどの波形ひずみを作る方式を提案した.また, 最近のカラーテレビ受信機でも, 波形ひずみを作り鮮鋭度を高めるのが一般的である.本論文では, この波形ひずみが視覚に与える効果について検討し, 帯域幅の制限に伴う波形ひずみを軽減するように設計された従来のテレビ系では, 視覚系でのMach現象の生起がおさえられるのに対し, 積極的に波形ひずみを作る筆者らの方式では, Mach現象の生起を助長し, 視覚系での情報処理能力を増加し, 鮮鋭度を増していると考えられることを示した.