電信電話とは異なり目的物または現象を直接観察し得るというテレビジョンの最大の特長を工業方面に活用せんとする気運は最近非常に高まって来た。現在この方面の発達は米国において最も顕著であるが, しかしまだ米国においても実用化の初期の段階であり, 今後の応用分野の拡大等は極めてわれわれの関心をひくものがある。わが国においても各方面で実用化への検討が進められ, すでに実現した例もある。危険な環境からの作業者の保護および能率向上から, また諸工業設備の拡大化自動化, 製造工程の分細化等による遠隔制御の中央集約化の要求等からも, 工業テレビジョンの活用は大いにテレビジョンの新分野を開拓することが期待される。 以下, 工業テレビジョンを利用しようとする際, 問題となるいくつかの点を考察しようと思う。