高精細度テレビ信号のディジタル伝送に関しては, 信号成分が広帯域性を有するため, 現行の4MHz帯域テレビ信号にもまして伝送速度の低減化が要求される.高精細度テレビ信号の帯域圧縮を考える場合, 解像度低下などの品質劣化が検知されない高品質性を維持することにより, 臨場感, 迫力感などの特長, 効果を失うことのない符号化アルゴリズムの開発が必要である.本文では, 高精細度テレビ信号の200Mb/s伝送の可能性を追及したフレーム内DPCM符号化方式の検討結果を述べる.測定した信号の統計的性質に基づく予測関数, 量子化特性を符号化パラメータとし, 処理画像の符号化特性 (SN比, 画質評価, 符号化効率など) を検討した.その結果, 29レベル (Y信号), 7レベル (C信号) の量子化器を用いることにより, 前値複合予測の他に, ハードウェアの実現が容易な前々値複合予測でも, 高品質性を保ったまま伝送速度を200Mb/s以下に低減可能であることが明らかとなった.