低符号化レートにおける画像信号の高能率符号化の一方式として, 特異値展開符号化にベクトル量子化の概念を導入した新たな符号化方式, すなわち特異値展開ベクトル量子化方式を提案した.この符号化方式は, 従来の特異値展開符号化方式ではスカラ量子化されていた特異ベクトルをそのノルムが1であることに着目して, 単位超球面上でベクトル量子化する方式である.また, 単位超球面上のベクトル量子化器の漸近性能評価に基づき量子化ビット配分法を導出した.さらに, シミュレーションにより符号化特性を求め, 従来の特異値展開符号化方式に比較して符号化特性が大幅に改善されることを示した.また, ブロック単位の適応処理を導入した方式は, 低符号化レートにおいてChenらの適応コサイン変換符号化方式よりも若干劣る符号化特性となることを示した.