用地難や電磁環境問題を避けるために, 中波放送アンテナを例えば山頂に設置することが考えられている外しかし, 山頂に設置した場合の中波放送アンテナの特性をあらかじめ予想することは, これまで理論的にも実験的にも困難であった.そこで本論文では, 山頂アンテナに関する筆者らのこれまでの理論の検証と, 山岳モデルを用いた実験方法の確立を目的として, モデル実験を行って得た測定結果について述べている.実験モデルには, 良導体である平地を模擬する導体地板上に, 損失性誘電体で構成された回転対称型のモデル山岳を製作し, この上に埋設接地線を施した直立モノポールアンテナを立てた.この実験装置によって, 先の筆者らの理論的報告の検証を行うと共に, 理論的には困難な, 接地効果がアンテナ特性に及ぼす影響を明らかにする.これによって, ある条件下において山頂中波アンテナが, 実用上有効であることを結論している.