多色発光を示すCaS, SrS薄膜エレクトロルミネッセンス (EL) 素子の作製と評価を行った.まず, 電子線蒸着法を用いて作製したCaS, SrS薄膜の特性をX線回折, 走査電子顕微鏡, X線光電子分光法により調べた.良質の薄膜を作製するためには, 蒸着時の基板温度を400~550℃程度の高温にする必要があり, 蒸着時にイオウを共蒸着することによっても膜質を改善できることが明らかになった.希土類発光中心を添加することにより, CaS : Euで赤色EL, CaS : Ceで緑色EL, SrS : Ceで青緑色ELを得た.これらのEL素子の輝度は, 駆動周波数5kHzの際に, それぞれ430,650, 1100cd/m2である.従来のZnSを母体とする多色発光EL素子と比較すると, CaS : Eu赤色ELでは, より色純度の良い発光を得ることができた.また, SrS : Ce青緑色ELでは100倍以上の輝度の向上を達成することができた.