従来の時分割立体テレビ方式の問題点であるプリッカの発生や垂直解像度の低下などを解決したブリッカレス120Hz時分割立体テレビ装置を試作し, この装置を用いて, これまで不明確であった時分割立体視の成立条件を検討した.実験には, 水平方向ばかりでなく垂直方向にも両眼視差を与えたランダムドットおよび方形パターンを対象に, 立体視可能な融合範囲を測定した.その結果, 時分割120Hz方式の融合範囲は, 水平方向視角40分以内, 垂直方向5-7分以内となり, 従来の60Hz方式や赤一緑メガネを用いるアナグリフ方式よりも融合範囲が広く, 立体視しやすいことがわかった.また, 時分割立体視に必要なシャッタ周波数や時分割提示条件でのプリッカ知覚についても検討した.