船体外板に始めてZn板を使用したのは英国の電気化学者Humphry Davyで, 今から約140年前のことである。我が国で使用されるようになつてからもすでに数十年を経過している。また最近電気防食に関する技術が著しく進歩してきた。それにもかかわらずZn板の装備基準を作ることができなかつた。その原因はZn板の所要量に影響する諸元が多く, それぞれの影響程度が明らかでなかつたためである。特にZn板の性能が一定せず実験毎にかなり大きい相異があることである。しかもZn板の性能は分析成績より良否を推測するだけで実用時の性能を数字的に示すことができないから, 多数の実験を比較検討することが困難であつた。それ故Zn板の所要量を定めるためにはZn板の性能を明確にすることが第一であると考え, 先にZn板の性能試験法について提案した。この試験方法を応用することによりZn板の実用時の性能を数字的に示すことができるようになり, Zn板の取付規準を決定することが可能になつてきた。Zn板の所要量を決定するものはZn板の発生電流と船体の種々の状態における所要防食電流である。なおこの他海水の抵抗等に起因する船体とZn板の間の回路抵抗が問題になる。これ等の問題についての実験結果を述べる。