船舶設計の実用面においても, あるいは船型学上船の推進性能, 運動性能等を解析するためにも,推進軸トルクの測定と並んで, 実船のスラスト測定を行なうことが広く要望され, また古くから種々の試みが行なわれているがまだ信頼するに足る値はほとんど得られていない。 日立造船技術研究所においては, 数年来実船試運転の際スラスト測定を続けて, ほぼ安定した値が得られるようになつたが, 著者等によつてスラスト測定が継承されるまでに, この困難な道を開拓して来た先人の努力が秘められているので, 当所におけるスラスト測定の経緯をふり返つてみるとともに, 測定の実際および測定結果についてここに報告する。 スラストの測定値に基づいた推進性能の解析については, 稿をあらためて報告することとする。