本研究は, 適切な水質管理がなされ健常者が常用している室内外の教育施設遊泳用プール水の細菌叢に着目し, N体育大学の年間におけるプール水の実態を調査したものである. プール水から年間を通じて, 高頻度に分離された細菌はグラム陽性桿菌 Bacillus 属, グラム陽性球菌 Staphylococcus 属であった. 上記の2属に属するすべての細菌は本質的には, 非病原性であるとみなされた. 屋外および屋内遊泳用プールから検出されたその他の細菌群について, その性状を概観すると, 遊泳用プールから検出されても病原性には問題のない細菌叢であることが明らかになった. すなわち, プールは細菌学的にも適切な水質管理がされていることが示唆された. わが国では法令により, プール水は消毒剤, 次亜塩素酸ナトリウム (濃度0.4-1.0ppm) で適切に管理するように定められている. 本研究で分離同定された Pseudomonas 属と Serratia 属のある菌種は近年, 日和見感染の起因細菌として着目されている. そこで, 今回分離された P. aeruginosa および S. marcescens について, 消毒剤として使用されている次亜塩素酸ナトリウムを段階的濃度に含ませたディスクを用いて感受性試験を行った. その結果, 阻止円は, 次亜塩素酸ナトリウムを高濃度 (50ppm) に含むディスク周辺でのみ観察され, プール水から見つかった, これらの Pseudomonas と Serratia 属の細菌は消毒剤に耐性を示す耐性菌であることがわかった.