本研究では, 大学男子バスケットボール部員14名を用いて, 被験者を無気型群と有気型群とに分け, 両群に同一トレーニング (8週間) を実施した後に, タイプ別トレーニング (8週間) を実施し, 間欠的なハイパワー発揮能力に対するトレーニング効果を検討した. 被験者は, トレーニング前, 同一トレーニング後およびタイプ別トレーニング後に, 全力での方向変換走を用いたインターバルテスト (20セット, 計8分間) を行った. 主な結果は以下の通りである. (1) 同一トレーニングでは, 両群ともに有気的能力のみが改善された. 両群ともにインターバルテスト後半のパフォーマンスに改善傾向が認められたが, 両群間の間欠的なハイパワー発揮能力の差に変化は認められなかった. (2) タイプ別トレーニングによって, 両群ともに無気的能力と有気的能力がトレーニング目標に達した. 両群のトレーニング課題が解決された結果, 無気型群はインターバルテスト後半, 有気型群は前半のパフォーマンスが改善され, 両群間の間欠的なハイパワー発揮能力に差が認められなくなった. 上述の結果から, 体力トレーニングを行っていく際には, 個人の体力特性に応じたトレーニング課題を設定してトレーニング処方することの重要性が示唆された. 本研究の知見は, 球技スポーツの体力トレーニングに個別性の原則を適用させる際の有用な知見になると考えられる.