人間が行う種々の評価の根底をなす主観の曖昧さの取り扱いは,ファジィ理論が提唱されるもととなった重要な課題である.これに関連する研究分野としては,意思決定,測度,データ解析,情報検索,心理,感性工学やヒューマンコンピュータインタラクションなど多岐にわたる.評価方法の数理的解釈はそれら研究の基盤として重要な位置を占めている.ファジィ理論の中で可能性(および必然性)評価は曖昧さを含んだ状況における曖昧な目標の達成度に対する評価方法として利用されてきた.しかしながら,その評価方法の数理的解釈は十分ではなかった.本論文では,社会的選択理論における拡張順序に基づいて可能性評価および必然性評価を定義しそれらと等価な条件を導き出す.これにより可能性評価および必然性評価の適用条件を明らかにするとともに評価間の順序関係について論じる.