本稿では,多出力二分決定グラフ(n-BDD)を利用したロボットの行動則の獲得手法を提案する.BDDは,論理関数の表現方法の1つであり,LSIの設計や,CADシステムのモデル検査などに利用されている.森脇らは,出力を複数持つ BDDを遺伝的プログラミングによって進化させる手法 n-BDDを提案し,これを食物連鎖の進化シミュレーションに用いることで,シミュレーション環境内で植物・草食動物・肉食動物の疑似生態系を実現している.しかし,この手法は,進化の過程では,BDDにおける変数順序の変更は認められておらず,疑似生態系の構築のために有用な変数順序を評価していた.そこで本稿では,この問題を回避するために変数順序を動的に決定できる新しい遺伝的操作を提案する.また,ロボットの行動則獲得のために交叉演算を導入する.実験では,ロボットの行動則獲得シミュレーション実験を行い,本手法の有効性を確認した.