近年,構造物の大規模化が進み,超高層ビルの建設が盛んに行われている.さらに,我が国は世界有数の地震,台風などの常襲地帯であることから,構造物の安全性や信頼性を確保するために,構造物の振動制御は重要な問題である.そこで,近年注目されている制御法の一つにファジィ制御がある.一般に,ファジィ振動制御では,振動に対して一番影響力の強い頭頂部に制御装置を設置し,ゲイン係数値を最適化し,基礎からの各層の相対応答変位・加速度を同時に低減化することを目的としている.しかし,ゲイン係数値を最適化しても,制御装置のある頭頂部については効果的な制御結果が得られるが,制御装置付近以外の層の応答加速度の低減は難しく,また,地震波の特性によっては上層以外の応答変位の制振効果も低下することがある.本研究では上述した問題を解決するために,構造物に対して制御装置を分散的に配置することを提案する.しかし,経済的な面を考えると,全層に制御装置を配置するのは現実的ではなく,本研究では設置コストと制御装置のコストを考え,予算制約下で設置する層とその制御装置の大きさ,さらに,前件部メンバシップ関数のゲイン係数を同時に最適化することを試みる.その際,発見的最適化手法であり,連続値最適化問題に対して有用である Particle Swarm Optimization(PSO)を用いる.数値計算例として10自由度構造物モデルに対する最適化を行い,地震応答解析を通じて提案手法の有用性について検討する.