遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)では一般的に,個体の評価値情報に基づいて淘汰・増殖などの遺伝的演算が施される.しかしこのとき,実際に探索が行われるのは遺伝子空間であるため,遺伝子空間と評価値空間における近傍関係の類似性が,効率的な解探索の上で重要となる.通常,これらの対応関係を決定づけるのがコーディングであるが,遺伝子空間と評価値空間との類似性を示す適切な指標が存在しないことで,用いたコーディングに対する評価や,適切な遺伝的演算方法の決定について,試行錯誤により行っていることも多い.本研究では,効率的な解探索を行う上で,遺伝子空間と評価値空間の類似関係を把握することを目的に,GA における探索中の個体を対象とした,遺伝子と評価値の関係の可視化手法の開発を目指す.本論文では,遺伝子空間,評価値空間それぞれにおける個体間の距離関係,そして遺伝子と評価値との非類似度を,同一空間内で表現する可視化手法を提案する.提案手法により,GA における遺伝子空間と評価値空間との類似性の把握支援が可能となることが期待される.また,得られた可視化結果を遺伝的演算にフィードバックすることで,求める評価値領域を効率的に探索可能となることを示す.