ファジィ制約充足問題は人工知能の基礎戦術として知られる制約充足問題(CSP:Constraint Satisfaction Problem)を充足度を持たせることにより拡張した数理モデルである.一方,動的CSPの枠組みは現実世界における問題の部分的な変化と再求解を想定したモデルであり,その特徴は,問題を解きなおすコストの削減と解の安定性が求められることである.これら2つを組み合わせた数理モデルである動的ファジィCSP(DFCSP:Dynamic Fuzzy CSP)に関する研究は既存するが,CSPはNP完全問題として知られ,最悪計算量は指数オーダーとなることから,完全で高速な解法は存在しない. 本論文では,ファジィCSPのハイブリッド解法であるSRSアルゴリズムをDFCSPに適用し,さらに後処理としてのフィルタリングとしてSRSDアルゴリズムを導入することにより,大規模で複雑な問題に対しても,安定した実用的な許容解が得られることを,他の代表的な手法と比較することにより定量的に示す.