本稿では,意思決定において多角的な視点からのデータ分析と,相補 / 非相補的な意思決定方略に対応できる,関連バランス制御機能を備えたキーワードマップを提案する.キーワードマップは,オブジェクト(キーワード)間の関連度に応じて,キーワードを2次元平面上に配置する汎用的な情報可視化システムであり,ユーザ意図を強調するマップの編集機能が備わっている.しかしながら,従来システムは,キーワード間の関連性に複数の属性が含まれている場合でも,関連度はそれらを包含し1種類の属性とみなすため,1つの視点からしかデータ分析できない.そのため意思決定支援へ応用する場合に,データを様々な視点から分析できない問題と,任意の属性を重要視するなどの意思決定方略を支援できない問題がある.本稿では,関連度を複数の重み付き属性値の線形結合と再定義し,ユーザがそれらの重みを制御することが可能な関連バランス調整機能をキーワードマップに導入する.属性の重み付け設定に応じたユーザのマップの解釈の仕方の違いを検証する被験者実験と,意思決定方略に応じた提案システムの使われ方の違いを検証する被験者実験を行った結果,提案システムは多角的な視点をユーザに提供し,また相補 / 非相補的な意思決定方略に対応可能であることを示す.