本論文ではポーカーの一種であるセブンカードスタッドポーカーを対象として,人間とコンピュータが協調して意思決定をしながら,ユーザが親しみを持つシステムを構築する.本論文では人間と協調して問題解決をするシステムをパートナーエージェントと呼ぶ.セブンカードスタッドポーカーは不完全情報ゲームで,最適な戦略をとる事が難しい.そこで,ゲームの状況に応じた判断をするためにパートナーエージェントが自身の意思決定や場の情報などを提示することでユーザと協調をする.パートナーエージェントがユーザに提示する情報は意思決定,状況,および意思決定の経緯で,状況によってはユーザからも能動的に質問ができるようになっている.また,ユーザがパートナーエージェントと異なった戦略をとるような場合には注意を促すコメントを提示する.本システムではさらに,ユーザがエージェントに対して親しみを感じるようにするために顔表情を付加する.顔表情は状況と顔表情を関連付けたニューラルネットワークで構築する.本論文ではさらに被験者実験を行い,被験者に実際にポーカーをしてもらい,パートナーエージェントがユーザの意思決定にどのような影響を与えているかを分析するとともに,実験後のアンケートからユーザがパートナーエージェントに対してどのような印象をもっているかを考察し,本エージェントの有効性について確認する.