現在,100年に一度とも言われる不況により,派遣社員の雇用を維持しながらコスト削減を進め,かつ作業効率低下を抑えるためのマネージメントが求められている.そこで,1人あたりの労働時間とコストを削減する「ワークシェアリング」の導入が提案されている.派遣社員の雇用維持を目的としたワークシェアリングを実施する場合,短期間で企業を出入りするという派遣社員固有の特徴を考慮することが重要となる.本研究では,派遣社員による企業内の人的ネットワーク変化と,人的ネットワークを介して行われる情報共有に着目し,派遣社員による人的ネットワーク変化を考慮したワークシェアリング実施手法を提案する.また,提案手法をシミュレーションによって評価する.そのために,社員とその人間関係をそれぞれノード,リンクとしたネットワークモデルを提案する.提案モデルでは,ノード間での情報共有によりネットワーク構造が動的に変化する.提案モデルを用いて,「派遣切り」,「ワークシェアリング」の効果を情報共有の観点から評価した結果,「近接中心性が低い順」にワークシェアリングを行うことによって,最も高い効果が得られることがわかった.