現在,高齢化は日本において社会全体として取り組むべき大きな問題となっているが,その一方で介護者やセラピストの数はまだ十分ではない.近年では,ネットワーク技術や情報技術,ロボット技術の発展にともない,我々は様々な情報を取り扱うことが可能になった.とりわけ,ロボット技術の応用は,介護者やセラピストの代わりを担える存在として期待できる.人間とシステムとの相互的なインタラクションを実現するためには,人間の振る舞いを認識することが重要な課題の一つとなる.従来研究において,行動の推定を行うために人間の行動パタンをモデリングする方法論がいくつか提案されているが,その多くがオフライン処理に基づくものであった.本研究では,データベース管理サーバ,ロボットシステム,センサネットワークシステム,ヒューマンインタフェースシステム,という4つのシステムコンポーネントから構成される見守りシステムを構築し,人間の行動計測を目的としたオンライン学習手法について議論する.具体的には,センサネットワークによって得られた各種データの時系列的なパタンを抽出するために時空間的文脈の学習が可能なスパイキングニューラルネットワークを適用する.また,ここでは,学習における安定性と可塑性の問題を考慮し,階層型学習構造を提案する.さらに,本提案手法の有用性を検証するために生活空間における実験例を示す.