本論文では,ネットワーク上で多人数の協同問題解決を行うための実験装置を開発することを主たる目的とし,この実験装置を用いて,複数人を対象とした協同問題解決に関する実験を行った.具体的には,(1)実験装置としてネットワーク上で動作する対話エージェントを構築し,(2)協同相手の構えの操作を通じて,多人数による協同問題解決に関する心理実験を行った.実験では,多人数に基づく協同問題解決場面において,異なる視点を有する少数派が存在した場合,その意見に対してどれぐらい問題解決者が影響を受けるのかを検討した.実験の結果,ほぼすべての実験参加者において相手が人間であるという構えを構築していたことが確認された.さらに,少数派の問題解決者がグループに存在する際には,その影響を受けて,視点の変容が起きることも確認された.