本研究では,携帯電話の操作量とユーザの睡眠時間に着目し,これら観測可能な人の行動と心身状態との関連性について検証を行う.ここで,携帯電話の操作量とは,折りたたみ式の携帯電話が開閉される頻度とその継続時間を指す.その際,24名の被験者に対して,約2ヶ月間におよぶ携帯電話の操作量の収集と,毎日の睡眠時間の自己申告を行う実験を実施する.同時に,心理検査(Cornell Medical Index(CMI))を利用して,被験者の心身状態の定量化を行う.実験の結果,携帯電話が開かれている継続時間は,べき乗則に従うことが明らかになった.さらに,時間幅に個人差はあるものの,短時間帯と長時間帯の継続時間は異なるべき乗則に従うことが明らかになった.また,実験で得られた2つのべき指数と睡眠時間を心理検査の結果と比較したところ,携帯電話を利用時のユーザの行動と心身状態の間には相関があることが分かった.