本研究では,脳波情報からユーザのリラクゼーション効果の指標を取得し,その値によってサウンドの自動チューニングを行うシステムを構築する.まず事前に,脳波情報を用いたリラクゼーション度合いを計測するための指標を構築する.はじめにθ波,α波,β波の周波数帯域の脳波パワー含有率の変化を3次元状態図で表示して脳波特徴解析を行う.次に脳波とリラックスの関係に関する仮説に基づき3次元状態図でリラクゼーション傾向を把握し,被験者がリラクゼーション状態であることを定量的に評価できる指標を構築する.6名の被験者に対して検証実験を行った結果,被験者の脳波の変化に対するリラックス度の有効性が確認された.筆者らは,サウンド生成に同期と非同期が制御可能な大規模カオスを用いて,音高,音長,音量を決定し,サウンド生成を行うインタラクティブ・カオティック・アミューズメント・システム(ICAS)を開発してきた.ここでは ICAS の応用研究として,生成したサウンドを人間にとってよりリラックスできるサウンドへと,自動でチューニングするシステムの構築を行う.実際に被験者にサウンド生成システムを使用してもらい,生成されたサウンドを聴いた時の6名の被験者のアンケート結果と本研究で提案するリラックス度推定結果の比較を行うことで有用性の検証を行なった.その結果,被験者のアンケート結果と本提案手法の指標に相関があることが確認された.