本稿では,楕円を用いた概括的な物体姿勢推定モデルを提案する.本モデルは,楕円を回転させたものを環状方向に,長短軸比を変化させたものを放射方向に配置し,それぞれを同心円状のネットワークとして接続することで構築されている.同様の考え方に基づくモデルとして,VTN モデルがある.このモデルでは,楕円体や直方体を回転移動・平行移動させて,2次元平面上に投影することで,物体の見え方図形を作り,それらを格子ネットワーク上に接続している.これを用いて,物体の姿勢推定を行うが,回転角・形状ともに同一な見え方図形がネットワーク内に複数存在するという問題がある.また,投影時の回転・平行移動度合い(離散化度合い)が一定のため,3次元物体の歪度が高くなると,十分な精度が得られないという問題もある.一方,提案モデルでは,これらの問題は発生しないため,高速かつ正確に物体の位置・姿勢を推定できると考える.