本研究で扱う高速双胴船には,横揺れの低減のためのアンチ・ローリング装置として,両側の船尾にトリムタブが取り付けられている.この装置の制御にはPD制御が用いられており,計測器から得られるデータより,減揺効果がある程度認められている.しかし,実際の乗客の体感としては,さほど効果が得られておらず,減揺装置としては高い評価が得られていない.そこで本論文では,乗客の乗り心地を改善するために,高速双胴船のアンチ・ローリング装置の制御にファジィ制御を用いる.実船における実験より,ローリングデータを計測し,周波数分析を行った.分析結果より,最大ピーク時でファジィ制御の方がPD制御より約60%揺動が抑制されていた.また,ファジィ制御の揺動抑制効果は乗組員によっても体感することができ,スムーズな制御を感じることができた.