本論文では,ロボットとのインタラクションを通して人に自発的な行動を促すことを目的として,フランクル心理学に基づくパートナーロボットについて議論している.近年,独居高齢者や日中独居の高齢者が増加しているが,これらの高齢者が可能な限り元気な状態を維持することが望まれている.そのためには,人が強制されることなく自発的に行動をし続けることが必要である.人の行動する意味を議論する上で,人が生きる意味は外部から求められることであると主張するフランクル心理学がある.フランクル心理学では,外部から得られる三つの価値領域を定義しており,価値をきっかけとして人が生きる意味,なすべき事を見つけることができると主張している.そこで,外部の価値が得られる対象をロボットを用いて気づかせる事ができれば,人は自発的に行動することが期待できる.本研究では,フランクル心理学に基づいたパートナーロボットのインタラクション手法を提案する.また,環境内の状況を認識する事で,三つの価値領域に基づいたインタラクションを行う外的価値推定手法を提案した.フランクル心理学に基づくインタラクション実験を通して,人が外部の価値に気付いて自発的に行動が可能となるか検証した.さらに,フランクル心理学に基づくインタラクションの適用可能性について議論を行う.