市販のパン酵母を使用して甘藷汁を処理し,栄養源添加の効果を検討した。1) 窒素源を添加すると静置培養のときは影響がみられず,通気培養では硫安50mg%の添加で糖の除去率は95%となり,酵母量も静置培養の2倍となった。硫安を添加すると処理液のpHは低下し,透明度が著るしく向上した。2) 甘藷汁濃度が高い場合には,CODが20,000PPmではCOD除去率は65~70%で薄い場合と変らず,それ以上の濃度になるとCOD除去率は低下した。3) リン酸一カリとパントテン酸カルシウムを単独で添加した場合は,COD除去率が無添加に比して数%上昇したが,硫安との併用では硫安のみを添加したものに比較して差がなかった。4) 振とう培養で硫安と無機イオンを併用した結果,添加の効果は認められなかった。5) 市販のパン酵母の9種についてその効果を比較した。圧搾酵母は全て硫安添加の効果が明らかであっ、たが乾燥酵母は硫安添加による影響が小であった。6) 有機態の栄養源を添加するとCOD除去率は良くなり,硫安との併用では酵母エキス,ポリペプトン,肉エキスが良好であった。7) 通気装置を使用して,振とう培養の結果と比較したが,除去率は同程度であった。 本実験は公害防止技術開発費によった。市販パン酵母をいただいた愛知県パン協同組合研究所の伊藤昇氏に深謝致します。