甘藷澱粉製造工程の粗篩としてS.Bを6段に組合わせて工場実験を行ない,本機の能力,篩別効果を調査し,甘藷澱粉工場への採用の可否を検討した。その結果 1. 毎時1440貫の甘藷を磨砕し,S.B1,5,6は0.6mmS.B2,3,4を0.5mmのWedge wireを用い,6段の向流式洗滌方式によって篩別した場合,澱粉の篩別回収率は80~88%の高率を示し,炉液へ移行した粕は磨砕物中の粕の18%を示し,最終粕の遊離澱粉率は2.8%であった。又48時間Wedge wireをそのまま連続使用した場合の最終粕の遊離澱粉は4%以内であった。従って濾液へ移行する粕量が若干多いが他は極めてすぐれた効果を発揮した。 2. Wedge wireは3ケ年の使用によって,磨耗もなく,作業中に附着するラテックスや細菌の菌体をS.B1,2は24時間毎に洗滌することによって十分篩別の役目を果し得た。 以上の結果は従来の平篩による向流式篩別システムよりもアミの交換頻度が少く,アミの消耗が皆無で管理が極めて安易で労力を要しない点,その他あらゆる点ですぐれた成果を示した。従って甘しょでん粉製造の粗篩別機として好適であると結論した。しかしながら高mesh篩としてはWedge wireが速かに閉塞を来すので今後に研究を要する。 本実験に当り,実験に必要な工場の改造とその実験施行に,万全の御協力を得た吾平町農協吉留組合長に深く感謝すると共に,S.Bの改造及び実験に格別な協力をいただいた幸袋製作所に謝意を表する。