1.弱酸化域の特異現象を除き,酸化澱粉の糊化開始温度は反応量に従って低下する。 2.しかし反応に粒の選択性が認められ,その低下度合は大粒子に著しい。従って同じく糊化開始温度が低下はするが,試料内の各粒について一様であるハイドロキシプロピルスターチ等のエーテル化澱粉とは,低下する内容に差異がある。 3.溶解度は糊化温度に依存し,高反応量の酸化澱粉ほど溶解度パターンは低温側に移行するが,同パターンから温度因子を除去しても,反応量に従った分子分散性の向上は飛躍的である。 4.分子分散性の良化に伴ない,粒の吸水膨潤能は極めて衰える。半糊化の酸化澱粉粒は膨らみの少ない粘性の乏しい状態にある。 終りに臨み,本実験について種々御激励を賜った味の素株式会社川崎工場,吉村工場次長および日野技術部副部長に厚く感謝致します。 本研究の要旨は澱粉工業学会大会(昭和42年5.月16日:東京)において発表した。