甘藷の汁液分離のため,ケネディー型連続向流抽出機を試作し,0.05N水酸化ナトリウム溶液による甘藷切片中の可溶性糖分の抽出実験を行なった。 1.甘藷切片に対する抽剤の量比を近ずけると,切片と抽剤との接触が不充分となるため,著るしく抽出率の低下を来たし,またこれに対する空気攪拌や切片投入量と抽剤流量を共に1/2するなどの処理は向流性を乱すために効果が少なかった。 2.また甘藷切片との接触によって抽剤のpHは徐凌に低下し,このために抽出能力が衰える現象がみられた。そしてこの抽出能力は新たなアルカリの添加によって回復せしめうることが確かめられた。 3.甘藷切片に対し,3倍量の0.05N水酸化ナトリウム溶液を用い(切片投入量:5009,抽剤流量:1.51/10分),各ボケヅトでpHを調整しながら抽出を行なった場合の糖抽出率は81.6%,全窒素抽出率は70.5%であった。 4.これらの結果に基づき,本試作抽出機の将来の改良すべき点についても言及した。本研究の概要は昭和43年度澱粉工業学会大会で発表した。