顕著な性状の差を示す粳米(農林21号),糯米(昭和糯)より製造精製した澱粉を同一条件で糊化した糊につい,E, Hatschek, H, J, Poole等と同様の原理のレオメータを用いて,粘弾性の研究を行い,更に粳米澱粉(農林29号)より分別したアミロース・アミロペクチン糊についても予備的な実験を試みた。 その結果 1)粳米,糯米両澱粉間に粘弾性率の差及び力学的模型の差を見出し,特に糯米澱粉においては,注入1時間後には瞬間弾性(G1)は認められず,定常流動性が大である。24時間後には瞬間弾性があらわれ,定常流動性もかなり著るしいことを認めた。 2)粳,米澱粉糊を注入後1時間,12時間,24時間放置した測定の,3分間以内程度の短時間観測における遅延時間(τ2)の変化を算出した。 3)アミロース・アミロペクチン糊について,粘弾,性率及び力学的模型の差を見出した。また,アミロース糊は定常流動性がなく,アミロペクチン糊は定常流動性が著るしい。このことは粳米澱粉糊は定常流動性が小さく糯米澱粉はそれが大であるという事実と一致している。 流動学的研究方法について御指導を受けた東京大学'理学学部化学科中川鶴太郎助教授,並びに,試料を御提供いただいたお茶の水女子大学家政学部食物学科福場博保助教授に深く感謝する。